用語の説明
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自然環境保全法
経済の高度成長に伴った国土の開発が、広域化・大規模化してきた。これまで自然保護のための開発規制等は個別の法律で対応してきたのであるが、このような背景の中では自然保護のための施策は十分でなくなってきた。そこで、自然保護のための基本理念を明確にし、自然保護の政策を強化するため、1972年に自然環境保全法が制定された。
第1条(目的)
この法律は、自然環境の保全の基本理念その他自然環境の保全に関し基本となる事項を定めるとともに、自然公園法(昭和三十二年法律第百六十一号)その他の自然環境の保全を目的とする法律と相まつて、自然環境の適正な保全を総合的に推進し、もつて現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。
第2条(基本理念)
自然環境の保全は、自然環境が人間の健康で文化的な生活に欠くことのできないものであることにかんがみ、広く国民がその恵沢を享受するとともに、将来の国民に自然環境を継承することができるよう適正に行なわれなければならない。
第3条(財産権の尊重及び他の公益との調整)
自然環境の保全に当たつては、関係者の所有権その他の財産権を尊重するとともに、国土の保全その他の公益との調整に留意しなければならない。
第4条(国の責務)
国は、自然環境を適正に保全するための基本的かつ総合的な施策を策定し、及びこれを実施する責務を有する。
第5条(基礎調査の実施)
国は、おおむね五年ごとに地形、地質、植生及び野生動物に関する調査その他自然環境の保全のために講ずべき施策の策定に必要な基礎調査を行なうよう努めるものとする。
第6条(科学技術の振興)
国は、自然環境の保全のために講ずべき施策の策定及びその実施に必要な科学技術の振興を図るため、試験研究の体制の整備、研究開発の推進、研究者の養成等必要な措置を講ずるものとする。
第7条(国民の理解を深めるための措置)
国は、教育活動、広報活動等を通じて、自然環境の確保の必要性について国民の理解を深めるよう適切な措置を講じなければならない。
第8条(地域開発施策等における配慮)
国は、地域の開発及び整備その他の自然環境に影響を及ぼすと認められる施策の策定及びその実施に当たつては、自然環境の適正な保全について配慮しなければならない。第9条(地方公共団体の責務)
地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて、国の施策に準じ、当該地域の自然的社会的諸条件に応じて、自然環境を適正に保全するための施策を策定し、及びこれを実施する責務を有する。
第10条(事業者の責務)
事業者は、その事業活動の実施に当たつて自然環境が適正に保全されるよう必要な措置を講ずるとともに、国及び地方公共団体が実施する自然環境の保全に関する施策に協力しなければならない。
第11条(国民の責務)
国民は、自然環境が適正に保全されるよう自ら努めるとともに、国及び地方公共団体が実施する自然環境の保全に関する施策に協力しなければならない。
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